『看護師』の支えは、やはり『看護師』No.2
スタッフ同士の『支え合い』が『離職』と『燃えつき』を防ぐ パート2
同僚同士が『カウンセラー』になれない部署は『離職』が増える
今回も青森慈恵会病院緩和ケア病棟(以下、5A病棟)とTNサクセス認定コーチで認定心理士の前田京子看護師の合同カンファレンスから「看護師同士の支え合いの大切さ」や「看護職の仕事のやりがい」について考えてみたいと思います。
前田さんにはこれまで緩和ケアの勤務経験がある看護師にアンケート調査を実施して頂き、青森慈恵会病院緩和ケア病棟でも自部署アンケートを実施。
その結果を見ながら、合同カンファレンスを行いました。
目次
辞めようと思ったエピソードとそれによって退職したか。どんな支援があれば留まったか
Q緩和ケアを辞めようと思ったエピソードを聞かせてください。
Q上記のエピソードが退職につながりましたか。退職されたという方はどんな支援があれば留まった(退職をしなかった)と思うか、お書きください
これは前田さんが聴取したアンケートですが、どちらも「ドキッ」とさせられる質問です。回答のいくつかをご紹介していきます。
Q緩和ケアを辞めたいと思ったエピソードを聴かせてください
・同僚に患者さんへのケアを提案したとき、「そんなことして何になるの?」と冷たく言われたとき。
・自分の看護を否定され、患者さんのためのケアに協力をしてもらえなかったとき
・同じ部署で働くスタッフとの看護への温度差を痛感したとき。
・詰所では冷めたところしかださない看護師が、患者さんや家族の前では愛想よく振る舞っている。そんな看護師の裏表を感じたとき
・同じ思いのスタッフがどんどん辞めていったとき
・看護について話をする時間より、転倒インシデントに対するカンファが多くなって、「なんのための、誰のための緩和なのか」と思った時。
・医師から看護ケアにまで口をだされ、今までの経験が無駄だったように扱われたとき辞めようと思った。
・患者さんから拒絶されたことを同僚に相談したが、話も聴いてもらえずサポートもなかったとき、こんなところで働けないと思った
・頑張っても結局は上司や病院に守られていないと感じたとき(信頼されていない)
・医師と意見や考え方が合わず、症状コントロールができないまま苦しんでいる患者さんの姿を見たとき。また、それが何度も続いたとき
・自分の無力さを痛感した時。志が高くて経験豊富な看護師が受け持った方がよかったんじゃないか、患者さんの苦しみを和らげられたんじゃないかと自信を失ったとき。
・自分の看護観と反することを患者さんに言わないといけなくなったとき
・「緩和って看取りの専門でしょ」的な扱いを他の病棟や部署からされたとき
Qその後、この件がきっかけとなり退職したという方にお聞きします。
どんなサポートがあれば踏みとどまったと思えますか?
・緩和の同僚ともっともっと腹を割って話ができたら違ったかもしれない 他多数
・医師がもっと責任を持って患者をみて対応して処方も評価し、看護師と話をしてくれるようだったら踏みとどまったと思う。
・同僚の看護を尊敬できたら辞めなかったかもしれない。同僚にわかってもらえないのが一番辛くて「もうやっていけない」と思った。他多数
・同じ思いの看護師が集まるように魅力ある病棟作りを看護部、病院が考えてくれたら。
・同じ部署で働くスタッフが、自分の看護観と同じであったなら踏みとどまったかも。
・病院内での緩和ケア病棟の正しい認識があれば辞めなかったかもしれない。
・休んでいても仕事のことが頭から離れず、疲れが残っていた。人がいなくて夜勤も多く、残業は当たり前、家族も緩和で働くことをよく思っておらず、愚痴も言えなかった。
最低限の人数のスタッフがいること、十分にリフレッシュできるような休日、休暇があったり気分転換ができたりという環境だったら働けたかもしれない。
死や病が身近にあると、「自分だけは大丈夫」という正常性バイアスが機能しなくなる
上記のアンケート結果を見て、