『看護師』の支えは、やはり『看護師』

スタッフ同士の『支え合い』が『離職』と『燃えつき』を防ぐ パート1

日本看護協会出版会「看護」

日本看護協会出版会「看護」


少しずつ、『本当にやりたい看護』をあきらめることで、看護師は『自尊心』を失う

患者さんのためにやろうよ』を叶える風土があれば、燃えつきない

同僚同士が『カウンセラー』になれない部署は『離職』が増える No2

 

「スタッフの『やりがい』を、どう作るか」というのは、どの組織でも抱える課題ではないでしょうか。

この難題に向き合った、規模も都道府県も大きく違う2つの組織の合同カンファレンスのやりとりを皆さんにご紹介しながら

看護師の『やりがい』とは、看護師はどんな支えがあれば辞めないのかを考えてみたいと思います。

<合同カンファレンス参加者>
青森慈恵会病院 病床数 規模   5A緩和ケア病棟スタッフの皆様
奈良県 スマイルさくらリハビリ訪問看護ステーション
TN認定コーチ・認定心理士 前田京子看護師

青森慈恵会病院は私が研修や昇格者試験、コーチングトレーニン等で支援させて頂いている病院です。
中でも青森市内で唯一の緩和ケアである5A病棟には、「職員満足度調査」等で他部署よりも深く関わらせていただいてます。

対する前田京子さんは、弊社の認定コーチであり、仲間の中でも熱くて有名な「緩和ケア命」の看護師さん。
「緩和ケアは、少人数の患者さんをじっくりと看護できる病棟で人も多そう」。こんなイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。

でも現実はなかなかそう行かないこともあります。

退職者がでてスタッフの補充をと考えたとき、一般的には5年以上ほどの看護師経験が必要であったり、本人の意向や何より「緩和ケアが向いているかどうか」というようなことを考えないといけなかったりで、人事が難しいとも言われます。

また、患者さんの終末期に寄り添い、看取るという緩和ケアならではの難しさもあります。

今回は看護職の『仕事のやりがい』と『離職』や『燃えつき』を予防するには何が必要かを、青森慈恵会病院の緩和ケアスタッフと、緩和ナース前田さんとで緩和ケアナースへのアンケートをもとに意見交換をしました。

 

『患者さんのために』を叶える風土があれば、看護師は燃えつきない

緩和ケアナースに聴取したアンケート結果より

Q1『仕事のやりがいを感じるときはどんなときですかに対する質問の答えの一部をご紹介します。

・人生観、死生観、看護観がそろう場所。『死とは何か、生きるとは何か』などを考えながら仕事ができてありがたいと実感するときにやりがいを感じ、仕事の尊さを感じる
・亡くなった後も魂は生きていると実感できるようなとき
・命を救えなくても、亡くなる方の魂や家族の心に触れることができるとき。大変ではあるけれどこれほどのやりがいのある病棟は他にないと思っている
・看護師みんなが、患者、家族のためを思い考えサポートしていると、誇りを感じるとき
・患者さんや家族の願いを叶えてあげることができたとき(病棟で結婚式を挙げた)
・志の高い信頼できる先輩方、スタッフと一緒に働いているんだと実感したとき
・ご家族が退院後も病院に来てくださり、感謝の言葉を言ってくださるようなとき。(患者さんの役に立つことができたと思えるとき、やりがいあります)
・ボランティアや臨床宗教士など一般病棟では関われない方々とも協同し、多方面から患者さんの願いを叶えることができたとき、やりがいを感じる

 

上記のアンケート結果を見ながら合同カンファレンスは進められました。

結果から、やはり『患者さんやご家族の願い』を必死に叶えるなど、
とことん『看護』ができたと実感するとき、看護師は『やりがい』を感じるんだということをメンバーみんなで再確認しました。

また、患者さんを第一に考えて行動する志の高いスタッフとともに働けることを『誇り』と感じるという記載の通り、看護師の『やりがい』には『患者さんのために』を叶えようとする仲間がいるかどうかも大きく関わってくる。

患者さんのためにやろうよ』をどこまでも叶えようとする職場の風土が看護師の『やりがい』を支え、激務をも乗り越えるエネルギーになる、と一同。

私も、元看護師として、今はコンサルタントとして、たくさんの現場の看護師さんの話を伺って、そう確信しています。

自尊心とは、『患者さんの役にたってる。いい看護してるなぁ』と、自分自身を誇らしく思えることで守れます。

心のどこかで『本当はもっとやってあげたいけど、こんなこと言ったら皆(他のスタッフ)は忙しいのにって嫌がるから言えないよね、、、』
なんていう日々の『本当にやりたい看護』へのあきらめが、自分への自尊心を少しずつ失わせていきます。

このちょっとしたあきらめの積み重ねが思いのほか、『燃えつき』を引き寄せてしまうんです、と前田さん。

また、カンファレンスでは前田さんご自身の『燃えつきた』経験も共有してくれました。

 

患者さんの症状を緩和しようとするとき、味方であるはずの医師の対応に傷つけられる

前田:以前、働いていたときのことですが、夜勤の時、患者さんが痛みで苦しみ始め、

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