【管理職向け】面談録画でハラスメント予防とコーチング力向上
※看護 2019年9月号 (Vol.71, No.11)日本看護協会出版会に掲載されたものです。
今回から、「ハラスメント予防」や「スタッフの働きがい」を作るために
全国の各病院で行っている画期的な工夫をご紹介していきます。
目次
面談録画でハラスメント予防とコーチング力向上
面談の録画はハラスメント予防に有効
本連載の第26回でもご紹介した岡山県にある特定医療法人竜操整形外科病院では
上司から部下への目標管理面談をなんと動画に撮影しています。
こうした病院はまだ全国でも類を見ないのではないでしょうか。
面談撮影の目的は管理職や面談を行う人の面談力の維持向上のためです。
竜操整形外科病院さんには弊社の厳しい認定試験に合格された「院内コーチ」が多数います。
院内で「TNサクセスコーチ認定バッジ」を胸につけ、スタッフの相談にのったり、
組織横断的なプロジェクトチームで活躍したりしています。
弊社の「コーチ認定」は一度試験に合格したら自動更新されるものではなく、
コーチング力が低下すると「認定取り消し」になるという厳しいものです。
ではコーチング力をどうやって計るのかというとことになりますね。
竜操整形外科さんと弊社で協議し、コーチング力は「目標管理面談」や「育成面談」といった場面に反映されるため、面談の様子を動画に撮って提出してもらい、その結果で認定を更新するということにしました。
もちろんスタッフ全員分の面談を提出というのは負担がかかりすぎるので、数人のものでOK。
他にも「コーチングを使った具体的な場面」を記述するシートも提出してもらい両者で「コーチング力」が維持されているかを計っています。
前回までの連載でパワハラに対する裁判事例で秘密録音された音声が証拠として採用されたこと、
盗聴は罪になるが秘密録音は必ずしも罪にはならないことをお伝えしました。
極端に言えばこれからの世の中は「録音されても困らないような面談をする」覚悟が必要なのかもしれません。
竜操整形外科病院さんの面談の録画は図らずとも「ハラスメント予防」としても有効だと言えるでしょう。
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読者の皆さんの中にも管理職というポジションの方がいらっしゃると思いますが、
ご自分の「面談の様子を撮影して皆で見ている」というシーンをイメージすることができるでしょうか。
「とてもじゃないけど、恥ずかしくて無理だ」とか、
「面談なんて見よう見まねでやってて本当にこれでいいのかどうか自信もないから嫌だ」とか、
いろんな感想が聞こえてきそうです(笑)。
竜操整形外科の管理職の皆さんも始めはそうでしたが、3年前からコーチングトレーニングを重ね、
認定者が増えるに伴ってスムーズに面談動画の提出がなされていくようになりました。
今では、自分の目標管理面談や育成面談を他の管理職と一緒に「ここは上手、あら、ここはダメよ」
なんてワイワイガヤガヤとお互いにフィードバックしながら振り返ってらっしゃいます。
なんて画期的なことでしょうか。
個人情報保護ということを声高々にいうスタッフが増えているこの時代に、
こんな取り組みをしている病院があるということに驚かれる方も多いと思います。
でも、「スタッフに面談の様子を撮影してもよいかの了承を得る」というのも管理職の交渉力の見せどころではないでしょうか。
じつは、「撮影の了承を得る」というところからすでにコーチングの認定更新の課題となっているのです。
「ペース&リード」という交渉術をコーチトレーニングで習得されている管理職で認定コーチの皆さん。
びっくりしますが、これまで「交渉できずに撮影できませんでした」という方は1人もいませんでした。
それよりも撮影に快く協力してくれたスタッフが、次の年に2期生になり、3期生になりと
「コーチング力が引き継がれていく」という好循環が現場に巻き起こっています。
2期生の面談力が向上した動画を1期生が見て、頼もしいと思ったり、
これはウカウカしてはいられないと思ってさらに面談力を上げなくてはと奮起したり。
何よりも自分が面談した部下が自分の面談をモデリングしてよい面談ができるようになり、
その部下を育成していくなんてことができるなんて最高です。
「門前の小僧習わぬ経を読む」といいます。
上司がよい面談をしていれば、自然とこのスキルは下に引き継がれていくものです。
スポーツの名門校と一緒で、先輩のフォームがよければ毎日接している後輩のフォームも自ずと良くなります。
そして、学校として優勝などの結果を出すようになります。
病院という組織も同じです。
竜操さんのように楽しみながら高い面談力を部下に引き継ぐことで自然にコーチングの風土が病院に醸成していく様子を側で見ていて私もワクワクが止まりません。
竜操さんのその後に今後も注目していきたいと思っています。
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面談力の向上には、「自身の面談を見て振り返り、フィードバックを受ける」のが一番
自分の面談の様子をひとりで振り返ることはなかなか難しいものです。
プロセスレコードを用いるという方法もありますが、作成する手間がかかり大変です。
でも動画なら面談予定のスタッフの同意を取ってさえあれば、あとはビデオ機材の準備をするだけなので、簡単です。
ましてや目標管理面談など年に数回実施すると決まっているものなら、
撮影のためにあらためて時間を作るというわけでもありませんので一石二鳥です。
カウンセラーやセラピストなどもカウンセリングの実際をビデオ撮影して自身の成長のためにスーパーバイザーにフィードバックを受けたりします。
他にはワンウェイ・ミラー(セラピストが面接している姿をスーパーバイザーが見れるよう面接室をマジックミラーで区切られた部屋)のある部屋で面接をしてフィードバックを受けたり、面接への行き詰まりなどをスーパーバイザーに相談したりができるに環境を調整して、自身の面接力を向上させるなどしています。
面接をする専門家ですら振り返りと助言を受け自身の成長につなげているのですから、ぜひ今後は我々もこうした姿勢とやり方を取り入れていきたいものです。
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目標管理面談力はスタッフの「働きがい」を作るキーポイント
私はコーチングを生業としていますが、医療の場面の目標管理は「コーチングそのもの」です。
スタッフの半年~一年後の「こうなりたい」「こうしたい」「こうしたことを成し遂げたい」を目標として数値化し、達成までのサポートしていく夢を応援する過程。
スポーツで例えるなら、日本人選手が「東京オリンピックで金メダルをとりたい」とTVで宣言したらほとんどの人は応援したくなるでしょう。
スタッフの働きがいを作る目標管理も、本来ならばコーチするこちら側もとてもやりがいを感じるはずです。
でも現実は「面談する時間がなかなか取れない」とか「部下の問題行動の指導ばかり時間を使ってしまい、
目標の進捗を確認ができずに終わった」などという声が後を絶ちません。
非常にもったいないことですが、コーチング力が備わっていればこうしたことは予防できます。
竜操整形外科さんは近年、人事評価制度も立ち上げました。
微力ながら私もお手伝いをさせてもらっています。
コーチングトレーニングを3年、
評価制度構築に1年と時間をかけてじっくりとコーチングマインドを浸透させてこられました。
「コーチングを学んだスタッフは多いけど組織は変わらなかった」という病院も多いですが、
要はインプットだけではコーチング的風土を作ることは難しいものです。
現場でどれだけ活用させるかという「しくみ」がなければ技術は定着しないからです。
使わなければ、どんなにいい道具も錆びついてしまうものです。
逆に人事評価制度のしくみだけでもスタッフのやりがいが作れるかというとそうではありません。
目標管理をするのは、「人」だからです。
「名選手、名監督にあらず」で、スタッフとしてとても優秀で仕事がバリバリできたからと言って、
名監督になれるわけでもありません。
管理職になったからスタッフのやる気を高める面談ができたり、目標管理ができたりするわけでもないのです。
「人」の心の機微をよく知り、モチベーションを引き上げる技術を身につける必要があるのです。
コーチング力を上げるにはインプットした後の、振り返りとフィードバックの継続化が重要です。
竜操整形外科さんの画期的な取りくみをぜひ、参考にしてください。
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