みなさん、「かかりつけ医」っていますか?

正直、私には「かかりつけ医」なんていません。
その代わり、家から近いから仕方なく受診する「しかたな医」はいます。
設備もスタッフも、先生の説明もいまいちだけど、歩いていけるし「ま、いっか」。
私の中でその程度の存在でしかないクリニック。

でもそこを「かかりつけ医」にしろという日本。まったくもってどうかしてる。このくらいの関係でしかない医者に、ACP(人生会議)と称して自分自身の終末期を相談するなんてことができるわけがありません。

令和4年にはじまった「かかりつけ医」制度の違和感

令和4年にはじまった「かかりつけ医」制度についてです。200床以上の病院に行くにはこの「かかりつけ医」なるものに、紹介状をもらわないと選定療養費が7700(税込み)もかかります。大きな病院に一番にかからず、まずは町医者を受診せよというこの制度。なんともまあ、乱暴にはじまった感が否めません。大規模の病院に患者が集中するのを防ぎたい。その大切さはわかるとしても、「家庭医」の歴史が長いヨーロッパ等で上手くいっているからと言って、総合診療医も多くない日本でこの制度がすぐに上手くいくとは思えません。

総合診療医とは昔の赤ひげ先生のように「どんな病気でも診てくれる優しいお医者さんのこと」です。細分化が進んだ今の日本では、風邪で喉の痛みや鼻詰まりがひどければ耳鼻咽喉科を受診するし、風邪で息苦しさが気になるなら「呼吸器内科」にとピンポイントで受診するのが普通です。細分化のための教育を受けてきた医師も「他の診療科のこと」が深く分かる訳ではありませんので、夜勤などで基礎疾患をもっている患者さんが救急車で来院すると「なんで俺が基礎疾患ある奴を診なきゃなんないんだよ!」と看護師に怒鳴る、暴言を吐くというようなことになります。これはこれでドクハラですが……。

こんな医者が現れるというのは自分の診療科以外の疾患を診ることに不安持っているという証です。「ない袖は振れぬ」のですから総合診療医を早急に育成し増やしていくことは日本の直近の課題でしょう。なんたって日本は世界一の超高齢社会なのですから。高齢者は病気のデパート。病気を複数もっているのがあたりまえです。

「しかたな医」を受診して実感した、町医者のスキル不足

さて、話は「かかりつけ医」に戻ります。先週から風邪をこじらせている私は、月曜に近医の内科にかかりました。経歴だけをみればよさそうな先生だったので、受診してみると、まずは診療が「古い、古すぎる。」

私が求めていたものとはかけ離れていました。喉が痛かったので、そもそも耳鼻咽喉科を受診しようかと思っていましたが、めぼしい所が休みだったこともあり、「ま、かからないよりましかな」と思い受診。息苦しさとのどの痛みを訴えました。話すことが仕事の私は日曜日に「講演が入っているのでそれまでにはなんとか声がでるように治りたいです。」とアウトカムを話しました。息苦しいというので一応レントゲン撮影をしてくれ、肺炎を否定してくれたのはよかったのですが、5年ほど前、小児喘息の再燃か?と思うような息苦しさがあり、夜間に救急外来を受診し、しばらく気管支拡張剤を吸入していたこともしっかり話した私は、「喘息ではない。息苦しさは喘息によるものではないのでこの薬を飲んで様子をみてみましょう。」くらい言ってほしかったのです。夜中に息苦しくて救急に行かなければならないなど呼吸器が悪くなる可能性を心配していたのですから。

鼻や喉に綿棒の長いやつを入れてやるだけの検査だというのにインフルエンザもコロナも数年前かかってしまった溶連菌の検査オーダーも出ず。喉が痛いと言ってるにもかかわらず、トローチやうがい薬もなし。ロキソニンで痛みがよくなっているならばと、薬もほぼ

自己判断で家で私が飲んでいたやつと変わらず。血液検査もやっていないのにこのくらいの炎症なら抗菌薬はいらないよと、PLとトラネキサム酸、去痰剤を処方されただけでした。しかし、クレームをつける元気もないので帰って爆睡。しかし、寝ても寝ても一向に治らない、、、、。

3日後に、まったくよくならないので、やはり紹介状をもらって大きな病院に行こうと決心。先日の受診の紹介状を出してほしいとこのクリニックに電話するとこのクリニックに再度受診し、先生が大きな病院受診の必要があると判断しないと紹介状はでないという。「先生の判断によりますので……。」の一点張り。その先生に「不信感があるから紹介してもらいたいんですよ」って言えないですよね。

紹介してもらおうと思っている病院はそもそも数年前に救急で受診して、喘息を治療した病院。息苦しさがよくならないので、そこに行き、肺の機能検査をしてもらいたいと思うは自然なことじゃないのか?と内心イラっときていました。この「しかたない医」を受診し、1時間は取られ、かつ、目当ての病院に紹介状を出してもらえないようなことになるのなら、7700円(消費税込み)払って直接かかった方がいいや。と判断し、東京○○病院に行きました。(「しかたない医」に再受診して再診料やら紹介状やらのお金が発生するのと時間というコストを考えたら直接行った方が早いと思いました。)「かかりつけ医」制度を定着させたいのなら、まず、町医者のスキルを上げることが先でしょ?と、そう思わざるを得ない出来事でした。

事務的で冷たい対応?大病院で感じた違和感

では、東京○○病院は?というと、1年以上受診がなければ初診扱い(そもそも何でよ?)で初診料が取られるということ、かかりつけ医の紹介状がないので「選定医療費」がかかるということ。くどい位に受付窓口で確認されました。しかも超事務的に。
患者は病院に「具合が悪いから来ています。」しかも私の場合は自発的に7700円かかっても。選定医療費のことを聞いてない!とクレームをつける患者と一緒にしてほしくない。「一応いっとかなきゃ」的な自己保身の接遇は、具合の悪い時には特に「イラッ」とします。「心配そうな顔くらいできないの?あなた」なんて、ついペイシェントハラスメントをしたくなるような対応でした。

ここが病院あるあるだと思うのですが、通常、別料金を払う人には何かしらの優遇ってありますよね。飛行機だって、ビジネスクラスは椅子もサービスも違う。「紹介状を持っていなければ非国民のような顔をされ、『来てすいませんでした』的な扱いを受ける。

こっちにいわせりゃ「なんだこりゃ!?」です。しかも同じ診療を受けてそこに7700円を支払ってくれる人なのに!です。通常の世界ではあり得ないんじゃないでしょうか。世間ズレしすぎです。そこまでして来るからには「何かあったのかもしれないな」と思えないか?受付は具合が悪い人が一番に通るところなのだという意識が薄すぎる。受付して、クレームもらわずに会計して帰ってもらう。そのことだけが仕事ではないはずではないか。様々な思いが駆け巡りました。

ペイハラ議論の前に見直すべき「医療者のコミュニケーション力」

診察券も机に出しておいたけど忘れた、ってこともある。私もその一人でした。
だって具合よくないときはいろいろ起こりますね、そりゃ。でっかく赤文字で「診察券忘れ」と押されたカルテを持って検査やら診察やら処置室を回る。そのたびに「あ、診察券お忘れなんですね」と言われる。何かでコミュニケーションとりたい気持ちはわからないでもないが、まったくもって「芸がない。」

「診察券お忘れでお困りでしょう」「再発行もできますので、紛失されたようでしたらお声がけくださいね。」くらい言えないのかと思ってしまう。きっとこの病院の先ほど選定医療費がかかるのを知っているかとしつこく聞いた事務の女性なら、「診察券の再発行は○○円ですが、お作りしますか?」と所詮、お金のことばかり言ってくるだろうと思うと、「また、貴院に受診したいので作らせてください!」というようだし、「まあ、引っ越すかもしれないし、次でいいか」と診察券は再発行しませんでした。ここで私が腹の虫が収まらない状態で、さらにこの事務職の女性が少しでも「診察券がないとこちらも手間がかかってしまうので再発行お願いします」などと言おうものなら、「かかるつもりないから捨てたんで、作らなくて結構です。」なんて言ってしまうかもしれません。10月からカスタマーハラスメントの法整備が始まりますから、これはいわゆるペイシェントハラスメントでしょうか。笑 法整備は大事なことですが、こうした「医療者側のコミュニケーションの質が低いために起こるクレームのすべてを『ペイシェントハラスメント』とカテゴリー化し、自分達の課題に向き合わないということだけは避けなければならないと思います。ひと言で言えばそれは「サービスの質の低下」に直結するからです。患者さんからクレームを多く頂戴するZ世代のスタッフの格好の「逃避理由」にペイハラが使われないようにしていく必要がありそうです。

今回、特に言われなかったので診察券を発行しなかったわたしですが、たとえ隣町に引っ越したとしても、この病院が好きなら選定医療費を払ってでもきます。

そういう視点が医療の世界はあまりないことが残念と思います。そして、印鑑。今は販促品で何でも作れるよい時代です。病院のマスコットが診察券忘れたから泣いているイラストでもいいし、「てへぺろ」をしているところでもいい。その印鑑をスタッフと患者が見合って「あ、これですね!」などと「診察券忘れ」がコミュニケーションを産んでしまうような印鑑を作るのもいいかもしれない。病院はシリアスな場所ではありますが、このくらいのユーモアがあってもよいのでは?と思います。

私は医療者のコミュニケーション力を上げるための仕事をしていますが、私がサービス提供をしている病院の事務さんや受付さんは今回あげた事務スタッフの方とはまったく違います。この話題を次回のプロジェクトチームのミーティングで出すと、「私ならこんなふうに対応しますよ!」などと、たくさんの上質なコミュニケーションの実際のプランがでてくると思います。それに関しては次回で触れることに致します。乞うご期待あれ。

最後に

私は医療者の接遇スキルも患者の医療リテラシーもどちらも大切だと考えています。以下問題は病院接遇検定模擬問題の一部ですので、皆さんの医療リテラシーを試してみてください!

病院接遇検定模擬問題

以下の設問で間違っているものの番号を選べ

  1. 抗菌薬は抗生剤とも抗生物質とも呼ばれる細菌を壊したり、増えたりするのを抑えたりする薬である
  2. 抗生物質はカビや微生物が作った薬のことをいい、人工的に作成されたものも含めてそれらを抗菌薬と呼ぶ
  3. 風邪やインフルエンザには抗菌薬が第一選択とされ、重症化を未然に防ぐことが重要である
  4. 家族に処方された抗菌薬や過去に自分自身に処方されたものを自己判断で飲むことは薬剤耐性菌を体内に増やす可能性がある

 薬剤耐性菌とは、本来なら効果があるはずの抗菌薬が効かない、または効きにくくなった細菌のこと。薬の不適切な使用によって増殖します。ex :MRSAメチシリン耐性黄色ブドウ球菌、多剤耐性緑膿菌、ペニシリン耐性肺炎球菌など

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