辞めてもらった方がいい「外罰的看護師」の特徴とは

※看護  2020年2月号 (Vol.72, No.2) 日本看護協会出版会に掲載されたものを一部修正・加筆したものです。

辞めてもらった方がいい「外罰的看護師」の特徴とは

私は看護師として5年、看護教員としては8年勤め、
現在は教育コンサルタントとして起業し、
病院や介護施設や看護学校等の教育支援と
人材確保のお手伝いなどをしています。
職業柄、たくさんの看護師と関わります。
組織の要としてバリバリ活躍している人達は、
時に「全然人が足りない、時間外が多すぎる」と、
組織の不満も口にしますが、
大抵は自己効力感によりキラキラと輝いて仕事をされています。
こうした人は『患者中心の看護がしたい』という理想と現実のギャップを
なんとか小さくしようと行動するのに対し、
組織に定着しない人は、ギャップを埋めようとはせず、
病院の悪口を言うという行動を取ります

そして、『本当の看護』を探し求めて
病院を転々とし「ジプシー」のようになっていきます。

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両者の決定的な違いはとは何か

組織の要としてギャップを埋める行動を取る人は、
「問題は自分の範疇にあり、解決できるもの」と思っていて、
病院を転々とするジプシー看護師は、
「問題は自分の外側にあって解決できないもの」と思っています。
「問題は自分の外側にある」と考えれば、
「自分にはどうすることもできない」ので、何も行動しません。

その組織に偶然、来てしまった自分が不憫で不憫でならないので、
同じように不幸な仲間を探そうと病院の悪口をしきりに言います

すると自称不幸な仲間が見つかって
「やっぱりこの病院がおかしいんだよね(私達はおかしくないよね)」と盛り上がり、
「自分だけが不幸じゃなくてよかった」と最低限の調和を得て安心する。
と、こんなふうになります。
人間の心にはストレスから身を守るために
「防衛機制」というものが標準装備されていますが、
「自分は悪くない」
「自分の外側に原因(罪)があるのだ」とする機制は「外罰」にあたります。
その人たちによれば、自分以外の何者かが悪いのですから、
その人達の立ち位置は一瞬にして「被害者」となります。
つまり「自分は悪くない」といった外罰的な考えを持つ看護師は、
理想と合わない組織と思ったときに辞めていくわけです。

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外罰的な看護師は早めに辞めてもらった方がいい

組織の課題を自分事と捉えて、
改善しようと頑張るスタッフを揃えたいと思えば、
本当は外罰的な人は早く辞めてもらっていいわけです。
でも管理職は
「人がいなくて今、こんな人でも辞められたら勤務が回らない」と思い、
退職を思いとどまらせます。
引き止められた外罰看護師は、自分を肯定されたと勘違いし、
その後も声高らかに「被害」を訴え続けます。
すると「被害者」のメンバーはどんどん多くなります。
「被害者の会」の人口が増えるとどうなるでしょうか。
「被害者の会」のメンバー(外罰的看護師ら)と一緒に悪口を言わないと
「あんた病院側だもんね」となり、その場に居づらくなります。
詰所で被害者の会の面々が盛り上がって話しているときに
一緒に悪口を言わない人が入ってくると一瞬で「シーン」となったり、
「止めよ、止めよ。病院側が来たから」と
軽い仲間外しのようなことが起こったりします。
そうして外罰的看護師らと「最低限の調和」をするために、日常会話が悪口となり、
病院の不平不満が飛び交う風土が出来上がっていきます。
仲間外しは行為類型3のパワハラです。

採用面談では外罰的な人を見抜き採用しないこと 外罰的な言動は「管理職がビシッと注意する」ことが必須

一番よくないのは外罰的な言動を取る人を、管理職が注意しないこと
これが続くとどうなるか。
「こんな人を注意しないなんて、もっとここは悪くなっていくだろう」と、
部署に希望を失い「よいスタッフが辞めていく」という最悪のことが起こります。
人は未来に希望を失った時に辞めていきます。(未来傾斜原理)
でも、今現在、病院の各部署に外罰的な人が
まったくいないというところはないでしょう。
なのでまずは、外罰的言動をしっかりと注意し、
そのスタッフに言動の改善を求めることが必須です。
そうして「希望を失っていい人が辞める」のを防ぎながら、
外罰的な防衛をしないかどうかを見抜く採用面接をして
「組織の課題を自分事として改善できる人」を採用し、
自発的な人をふやしましょう。
そうしているうちに、前に辞めた看護師が様々な病院を転々とし、
「青い鳥は近くにあった」と、心を入れ替えて戻ってきたりして、
結果として人が増えていったりします。

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出戻り率を上げるのも一手! しっかりとマネジメントできてくると人が増えてくる

どうしてこんなことが起きるのでしょうか。
退職した職場のその後は気になるものです。
なので、辞めた組織の昔の同僚に会った時、
「その後、病棟どう?○△さん達(外罰的看護師)相変わらずでしょ?」
と現状を聞いたりします。
その時、
「○さんはB病棟に異動。
△さんは看護部長に呼び出しでキツく言われて今はおとなしい。
結構人も入ってきて変わってきたよ」
なんて聞いたりします。すると、
「別に○△さん達が嫌だっただけで他のスタッフや病院の方針自体はいいんだよね」
と思って退職した人なんかは心が揺れてきます。そこへ、
「Nさん、戻っておいでよー。私、師長に言ってあげるから」
なんて多少のきっかけがあれば戻って来たりするのです。
こうしたやりとりを偶然に任せるのではなく、
退職したNと仲の良かったスタッフに
「Nさんその後どう?元気にしてる?
病棟変わってきたから戻っておいでって師長言ってるよと声かけておいてね。」
と伝えておくなど、
戦略的に起こすように管理職が采配を振ることもできるでしょう。
多くの看護師は事を荒げたくないので退職の際、
表向きな理由を言って辞めていくものですが、
「じつは○△さん達さえいなくなればいい部署なのに」
というのが本音だったりもします。
こうした気持ちで退職したスタッフには
折に触れて連絡を取ることで出戻りを促すことができます。
「出戻りのスタッフ」でプロジェクトチームを編成し、
「組織のよいところを再認識させる」取り組みを活発にやっているところもあります。

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採用面接は1番最初の「キャリアコーチング」の機会と捉え、内容をブラッシュアップする

先日も私は、ある看護師さんの採用面接に同席しました。
そこの面接官はどこかでコーチングの基礎的なことを学んだようで終始、
「5年後どうなりたいか、
どのようなキャリアを積みたいのか、
あなたの強みはどこか」などを聞いていました。
採用面接にも結構時間を使いますので、
こうした質問を求職者の目の前でするのはとっても非効率です。
こうしたことはエントリーシートに盛り込んでおき、
求職者に事前に記入し持参させるようにします。
こうしたオープン質問というのは考えるのにとても時間がかかりますし、
また、
「5年後どうなりたいか、
どのようなキャリアを積みたいのか、
あなたの強みはどこか」などの質問への答えは
今後の人生においてもしっかりと考えをまとめておいた方がいいのです。
なので、事前に十分に時間をかけて面接に臨ませることは
「面接の心構え」をつけさせる効果もありますし、
紙面で「キャリアコーチング」をすることにもなるので一石二鳥です。
またこうした一般的な質問に時間をかけても、
人にストレスがかかったときに、
外罰的になるのかどうかはまったく判断できません。
外罰的規制を使うかどうかを見抜くためには
それを引き出すような質問でなければ意味がありません。
採用面接官の「質問の質を上げる」必要があるのです。

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外罰的な看護師を採用面接で見抜くには

皆さんの組織の採用面接では求職者にどんなことを聞いているでしょうか。
面接時の文言集などは作成していらっしゃるでしょうか。
「そうしたものはない」というところはぜひ、
作成することをオススメします。
「休みの日は何をしているか」
「趣味は何か」
「愛読書は何か」
こうして質問をしてもストレスフルなときに
人がどう反応するかは引き出せません。
こうしたことを引き出すには、ストレス場面を想定し、
「そこであなたはどう考えどう対処しますか?」を問えばいいのです。
実際に私が作成した組織の採用面接の文言集もだしています。
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他には、
「自分の発している刺激はポジティブなものが多いか、
ネガティブなものが多いか」
を診断するストローク分析というツールもオススメです。
私はこのストローク分析をコンサルティング先で
管理職や指導職のフィードバックに活用しています。
70問の質問に答えると一瞬で自動的に棒グラフができ、
ポジティブストロークとネガティブストロークの割合いなどが
わかる診断ツールです。
この診断でネガティブストロークを与えるという項目が高く
ネガティブストロークを与えるのを拒むという項目が低ければ、
まずはその人は外罰的傾向が強いと言えます。
こんな診断を参考にするというのも一手でしょう。

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