ゆとり世代の事務職員【自分の問題に気づかせる手段とは】

※ 日経ヘルスケア 2011年11月号 掲載 ブログにするにあたり株式会社日本経済新聞出版社より許可を頂いております。

自分の問題に気づかせる手段とは

患者との無駄話が多い事務職員

西日本のAクリニックに勤務する「ゆとり世代」の事務職員B子。
明るい性格だが、患者に敬語を使わず同世代の友だち同士のようにしゃべりかける上、
患者と無駄話をしている時間も長い。
そのため事務作業が滞り、同僚の事務スタッフの不満が強まってきた。
指導しても「これが私のやり方なので」と言うことを聞かず、院長は困り果てた。

Aクリニックの事務職員は、常勤・ 非常勤合わせて10人ほどの体制。
今回、院長の依頼を受けて話を聞いたところ、
問題のB子は3年前の開院時に採用した常勤職員で、
面接の際の
「子どもやお年寄りとかかわるのが好きです」
という一言にひかれて採用を決めたという。
実際、仕事をさせてみると、B子は受付業務をしながら高齢の患者と世間話をしたり、
来院した子どもの相手をすることが多かった。

患者とのコミュニケーションを取ることは確かに大切だ。
だがB子の場合は、そのやり方を勘違いしていた。
B子の話の長さや、なれなれしく話す態度を不快に感じているように見受けられる患者は
少なからずいて、同僚との溝も深まる一方だった。

院長はB子に患者への態度を見直すよう指導したが、
「自分は、患者さんの話をじっくり聞いたり、
子どもの相手ができるということでここに入職したのだから、
やり方を変えたくない。話し方もフレンドリーな方が患者さんに喜ばれる」
と頑なな態度だった。

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同僚の「ガス抜き」の場づくりも

B子のように、自分なりの信念があって態度が頑なな職員に、
「無駄話をやめなさい」
「言葉遣いが悪いから改めるように」
とストレートに注意しても、心理的な「防衛機制」が働き、
反発されたり否認されて余計に事態が悪化してしまうことが少なくない。

こうしたケースで有効な手法の一つが、本人の問題行為を「例え話」として伝えるというもの。
問題点をストレートに指摘されるとカチンと来るようなタイプの人でも、
同じ意味の内容を
「以前ほかの医療機関でこんな出来事があって……」
といった例え話で伝えると、すんなりと自らを省みるようになることがある。
これは、コーチングやカウンセリングで「メタファー」(隠喩)と呼ばれている手法だ。

筆者は、この手法を用いてAクリニックで研修を行うことを決めた。
ただし今回は、B子と初めから個人面談するのではなく、
まずは全職員を対象に患者応対に関する集合研修を行い、
他施設での無駄話や問題ある応対のエピソードを例え話として紹介することにした。

これは、B子に不満を持つ同僚の不満を和らげる「ガス抜き」の場にもなると考えたからだ。
周りのスタッフたちが、「この研修ではB子の問題点を指摘している」と気づけば、
「私たちの不満を院長が理解して、研修を開いてくれたんだ」
と感じてもらえるのではないかと期待した。

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他施設の二つのエピソードを紹介

研修は、平日午後の休診時間を利用して行った。
ここで強調したのは、
「対人関係において、自分が意識していない部分が表出して、相手を不快にさせていることがある」
という点だ。

例え話として紹介したエピソードの一つは、以前研修を依頼された病院の事務職員のケース。
筆者が電話応対の様子を観察していたところ、患者には丁寧な応対をしていたのに、
電話をかけてきたのが取引業者と分かった途端、声色が変わって語気がやや強くなっていた。
後で本人に聞いてみると、そのことは全く自覚していなかった。

もう一つ取り上げたのが、筆者が看護学校の教員を務めていた当時の話だ。
授業中の私語が多いクラスで、「なぜ私語が多いのか」と学生にアンケートを取ってみたところ、
「隣の子が話しかけてくるから答えてあげているだけ」という回答が多かった。
教員から見れば、単におしゃべりをしているだけで迷惑な行為なのだが、
本人たちは「親切に対応してあげているのだから自分は悪くない」と思い込んでいたのだ。

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「接遇が変わった」と患者も評価

メタファーは、あくまで間接話法として伝える手段なので、
「あなたのことを言っているんですよ」
という意図がストレートに伝わりすぎると効果が薄れる。

また、相手を責めようとしたり、「何とか変えてやろう」という意識が強すぎると、
それが本人にも伝わり、針のむしろに座らされているような心境になってしまう。
研修ではこうした点に注意した上で視線をB子に集中させたり、
逆にわざとらしく目をそらすことのないよう、さりげなく伝えることに努めた。

スタッフたちの反応は、予想以上に大きかった。
「そうそう、その通り」といった面持ちでうなずいたり、にっこりほほ笑む職員が多く、
研修後の個別面談で「B子の話をしてくれたんですよね」と筆者に感謝を伝える職員もいた。

当のB子も、真剣な表情で話を聞いており、
筆者との個別面談の場で「今日の研修、どうでしたか」とさりげなく聞いてみたところ、
「他施設の事例は、私にも当てはまるかもしれないなと思いました。
実際、そんなことを言われたことがあったから。自分も気をつけなければ……」
と素直に受け入れてくれたようだった。

その後、長話がなくなったり言葉遣いが改善するなど、
B子の患者応対に明らかな変化が見られた。
顔なじみの患者からも、
「元気なのもいいが、今のお前の応対はもっといいぞ」
などとお褒めの言葉をかけられるようになった。

Aクリニックでは筆者による研修という形を取ったが、同様の問題が発生した場合に、
院長ら管理職が自らの講話などで話しかける形でも十分成果が期待できるだろう。
例えば診療所院長であれば病院勤務医時代、
事務長なら企業に勤めていたときの経験を基に話をするといった具合だ。
前に述べた注意点を踏まえ、職員の「気づき」を促してみることをお勧めしたい。

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