うつで休職した後輩のアイキャッチ

「うつ状態で勤務軽減が必要な後輩の言動にモヤッと」を解消!

ストレス社会と言われる現代では、うつ病と診断されて休職される人が多くなっています。
看護の現場でも同様ですね。あなたの職場にも休職者がいるのではないでしょうか。

今回は、「うつ病で休職した後輩の言動にモヤッとしてしまう」シチュエーション。
いつも「何かのせい」にしているように見える後輩をどうとらえたら良いのか?

大丈夫、考え方を少し変えてみれば、相手を「嫌だな…」と思ってしまう状況から抜け出せますよ。
状況と背景を整理して、モヤっとする原因を考えてみましょう。

スッキリできる解消法は最後に紹介していますので、ぜひ、最後まで読んでみて下さいね。

寺岡さんの不満:うつ病で休職した後輩の言動にモヤッ。私ってナース失格?

寺岡さんは、うつ病で休職した後輩看護師・黒木さんの言動にモヤっとしています。


黒木さんが精神的にまいってしまった病棟は私も実習にいったことがあるけど、たしかに指導者がキツかった。
でも、きちんとやること(事前学習や質問されたことへのレポートなど)をやっていけば認めてくれる人だった。

黒木さんはそのあたりは「手を抜いてるなぁ」とも感じたけど、落ちこんでるのを知ってたから何も言わなかった。

同じ病棟で働くと、彼女はちょっと「人のせいにしすぎだ」と思うように。主任のことを恐いと言うけど、仕事に対する姿勢が悪いから注意を受けていることがほとんど。仕事なのに「わからない、自信がない」と言いすぎるとも思う。

なのに師長には「主任のせいでうつ状態になった。」と言って全面的に被害者になってる。

2ヵ月仕事を休んでいたときも映画に行ったり、エステに行ったり。

うつ状態にはリラックスが大切っていうのもわかるけど、なんだかこっちは彼女の勤務の穴をうめるので忙しいのに!と超モヤッと。復帰後は体調が悪いからと仕事を休むことも多く、出てきても部屋持ちやヘビーな仕事はさせられない。(師長に勤務軽減してあげてと言われてるから)

正直言って最近は「一緒に仕事するのはちょっと勘弁してほしい…でも、うつ状態の彼女を(しかも自分を慕う後輩)こんなふうに思う自分ってナース失格だよなぁ…

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うつ病で休職していた黒木さんの言い分

うつ病になった看護師の黒木さん

 

 

私は看護学校の実習のときメンタル的に落ちてしまったことがある
そのときはとにかく毎日落ちこみがひどくて夜もぐっすり眠れず、体重も3kg減ってしまったっけ。

原因は、病棟の指導者がかなり厳しかったから。「ねぇ。なんで今、この患者の状態で院内散歩なワケ??」とか「あなたがいってることって全然分かんないんだけど?」なんてことをみんなの前で平気で言ってくる人だった。

それがトラウマになって、今でも厳しい指導をされると動悸がしてきて人前で手が震えてしまう
こうなると何度も必要物品を確認しても何か抜けていたり、患者さんの前で手の震えが止まらなくて点滴が刺せなくなったりして…そんな自分だから先輩の寺岡さんが同じ病棟にいてくれるだけでホッとする。

でも今年から主任に昇格した人は私の苦手な恐いタイプの人
私みたいに内向的なタイプは好きじゃないみたいで、その主任からよく注意されるようになった。

主任のことを思うと動悸がするようにきて、うつ状態と診断された。2ヵ月もの間、仕事はドクターストップさせられた
その間はお給料も30%カットされて経済的にも大変だった。それに私が休むことで他のスタッフに迷惑をかけてしまうのも申し訳ない。だからまたうつ状態にならないように、師長さんには私の精神的な状態をよく相談しておかなくちゃいけないと思ってる。

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2人の背景から考え方の傾向を知ろう

ここで、寺岡さんと黒木さん2人の生まれ育った背景を見てみましょう。
2人の性格と考え方にはどんな違いがあるのか、どうしてそうなったのかを知ることで、「モヤっと」を解消できるヒントを見つけられるかもしれません。

黒木さんのプロフィールと背景

 

立ち姿の看護師・黒木さん

ナース歴 2年。この病院が初めての勤務先。
寺岡さんを慕って同じ病院に就職
住まい 病院寮の2Fに一人暮らし
家庭 老舗の和菓子屋。
祖母、祖父、父、母、兄、弟との6人家族
3人兄弟の真ん中で唯一の女の子
両親との関わり 共働きのため、話す暇もないほど
いつも祖母が面倒を見てくれていた。
性格 内向的

小学校3年生のとき、自家中毒で1週間入院した黒木さん。
両親はいつも忙しくて黒木さんと関われていないことが病気の原因だと、自分たちを責めました。
そんな思いから入院中の1週間はお母さんが病院に付きっきりで看病してくれたのです。

幼い黒木さんは「お腹痛かったり、気持ち悪かったりしたけど結構、病気って悪くないなぁ」と思いました。
そのころから徐々にストレスフルな状況になると黒木さんはどこかが痛くなったり、動悸がしたり、精神的に落ち込んだりするようになりました

寺岡さんのプロフィールと背景

看護師・立ち姿 寺岡さん

ナース歴 3年。この病院が初めての勤務先。
住まい 病院寮の3Fに一人暮らし
家庭 母と弟が2人の4人家族
両親との関わり 4歳のころに父親が精神疾患で自殺してしまう。
「強くあること」を大切に育てられてきた
性格 頑張り屋、ストイック

寺岡さんのお父さんは、寺岡さんが4歳のときに精神疾患で自殺してしまいました。
そんな経緯もあり、寺岡さんは幼いころからちょっとやそっとのことでへこたれないようにと強く育てられてきました。

小学校のころから始めた長距離マラソンは今でも続けています。
長距離走では大会新記録者や関東代表になったことも。マラソンから得た教訓「大会で勝つコツは、日々の自分との戦いに勝つことなんだ。」です。

力強くまっすぐに育った寺岡さんは、「人生、何でも勉強」と思うタイプなのであまり悩みごとがありません。
そんな寺岡さんが唯一対応に困ってしまうのが黒木さんのようなタイプの人です。

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寺岡さんのモヤッとはなぜ生まれるの?

疑問を浮かべる看護師
寺岡さんの「モヤッと」は、黒木さんの何でも人のせいにする姿勢にふれることで生まれます。黒木さんはストレスがかかるとそれを人や状況のせいにしてしまいます。

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黒木さんの言葉をふりかえってみましょう。

  • 「厳しい指導をされると動悸がしてくる」
  • 「主任からよく注意される
  • 「仕事をドクターストップさせられた
  • 「お給料も30%カットされた

「~された」「~させられた」という表現が多いですね。

こういった表現をする人は、困ったことが起きると自分以外のところに責任があると考えます。つまり外部に責任転嫁してしまうのです。

反対に、寺岡さんは「何でも自分のせい」と考える傾向があります。
それは「人生、何でも自分の勉強。」という言葉にも表れています。

勉強するのは自分ですからこれは責任を自分でとろうとしている人の言葉なのです。
たとえ不幸なことが起きても、そこから教訓を得て力強く立ち上がることができます。

幼くしてお父さんを亡くして、苦労した寺岡さんの人生に対する姿勢はとてもすばらしいですね。父親が自殺したということを理由に暗い性格になることも、片親だということを理由に非行に走ることだってできたはずです。

人や状況のせいにしていれば人の同情を集められます。「同情なんていらねぇ!」と非行に走る人は言うでしょうが、だったら静かにしている方が得策です。でも、それを押してまで非行に走るということは「注目を浴びたい」という欲求の現れ以外の何物でもないでしょう。

深夜だというのに、近所中に響きわたる大音量でバイクを走らせる人達を「いったい何が目的?」と、不思議に思ったことがありませんか。

人や状況に責任転嫁して生きる。その方が楽な生き方かもしれません。
でも、それでは人間の成長は止まってしまいます。

オリンピック選手のインタビューで天候が悪かったからとか、メンバーが悪かったせいで勝てなかったなんていう話は聞いたことがありませんね。「責任は自分にあり」と、ストイックに練習と努力を重ねる人がオリンピックという頂点に立つことができるのです。

かくいう私もかつてソフトテニス競技で国体に3回ほど出場したことがあります。国体で勝ち進んでいくような人達には、勝ち負けを何かのせいにする人はいませんでした。むしろミスや負けの原因を自分に求めて次の大会まで努力、精進していきます。そして、そんな精神態度がさらに勝ちを引きよせるようでした。

寺岡さんも外部に責任転嫁をしなかったからこそ陸上選手として大会新記録者になれ、関東代表にもなれたのです。
「責任は自分でとる」という姿勢の寺岡さんだから、黒木さんの人や状況のせいにする姿勢にモヤッとしてしまうのです。

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寺岡さんのモヤッと解消法 ~目からうろこポイント~

すっきりとした青空

1、まずは黒木さんを理解しようとすること

疾病利得(しっぺいりとく)という言葉があります。
多くは、忙しくて子どもにかまってあげられない親が、病気をしたときだけ手厚く看病したりすることで起こります。
子どもに病気をすることは得なんだと思わせてしまう現象ですが、黒木さんはまさしくこの疾病利得の状態にあります。

忙しい両親のもとに生まれた黒木さんはいつも寂しかったことでしょう。
黒木さんは兄と弟にはさまれ「女の子なんだからお手伝いしなさい。」なんて、幼いのにガマンすることも多かったのかもしれません。

それでなくとも3人兄弟の真ん中というポジションは愛情不足を感じやすいともいわれます。
長男長女は1番先に生まれてきたということで手をかけられ、3番目の子は1番幼いということで兄弟からも可愛がられる。

平等に接しているつもりでも親も完ぺきではありませんから、真ん中というポジションの子どもにどうしても関わりが薄くなってしまう面があるのかもしれません。

黒木さんが唯一親の注目をひとり占めできたのが病気で入院したとき。
入院しながら幼かった黒木さんは親の注目=愛情を得るには病気になればいいんだという方法を学習してしまったのです。

黒木さんは社会人になった今でもこの方法を使っているのです。社会にでた今では注目を得たい対象が親ではなく職場の人、つまり同僚や先輩や上司に。「私はメンタルが弱いんだから他の人より配慮してください。」と特別扱いされることで周囲の注目=愛情を集めている

つまり「私は悪くないんです。すべて病気が悪いんです。」と、病気に責任転嫁している。
これが今の黒木さんのあり方です。

2、「さみしい自分の気持ちをそうやって守るしかなかったんだね」と天使のように思ってあげる

黒木さんの人や病気に責任転嫁するあり方にモヤッとする人は多いでしょう。自分に厳しく生きている人なら当然のことです。私が教員だったころにもこういうタイプの学生がたくさんいて、その都度モヤッとしていたものです。

でも元々ナースである私は、人にモヤッとしつづけること自体が苦しくなってくるのでした。みなさんもきっとそうではないですか。やはりナースは白衣の天使なのです。

天使の使命は人の救済。人を悪く思うことが天使の使命とかけはなれた感情なので苦しくなってくるのです。

でも黒木さんのあり方はいただけないですよね。
では、いったいどうしたらいいのでしょうか。

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私のおススメは「さみしい自分の気持ちをそうやって守るしかなかったんだね。」と、天使のように思ってあげることです。

「甘えを助長するだけじゃないの?」と思う人もいるでしょう。でも不思議とこれがそうならないものなのです。黒木さんの人や病気に責任転嫁するあり方は良いか、悪いかといえば悪いことです。

1つは、人に迷惑をかけ愛情を奪うという面でいけないことです。
2つは、黒木さんの成長が止まるという面でいけないことでもあるのです

良いか、悪いかだけで人をみるときそこには冷たさが残ります。

以心伝心とはよくいったもので、相手を悪い人として見ていればその気持ちは必ず伝わっています。
いくら表面で「大丈夫~?」と優しく言ってもダメで、本心は伝わってしまうのです。

相手から悪く思われると、「もっともっと自分を守らなくっちゃ!」と防衛本能が働きます。だから、相手を悪く思いながら注意をしても、相手は変わるどころか逆効果。人の悪い部分をみるときは善悪だけで裁くのではなく、「そうすることでしか自分を守ることができなかったんだね」「大変だったね」と、相手の事情をくんであげることが大切なのです。

3、責任円グラフを書いてみる。

黒木さんの責任転嫁について話をしてきました。
「黒木さんが全部悪い。」といってしまえば、今度は我々が黒木さんに責任転嫁することになります

縁あって出会った黒木さんなのですから、彼女の疾病利得的な行動に関してどのくらい周囲の人が責任を負えばいいのか、考えてみましょう。責任円グラフを使って、周囲の人が何%責任を負えるかを記入してみましょう。
責任円グラフ

この不景気な世の中です。一般の社会では「黒木さんがいると会社のみんなに迷惑がかかるから辞めてください」と肩たたきに会うかもしれません。でも病院は天使の職場なのですからそれだけでは何か味気ない気もしますね。人はいろいろな人と関わり合って生きています。縁あって出会った人の責任の一翼を担ってあげるというのもステキな考えではないでしょうか。

責任円グラフを記入して、寺岡さんが黒木さんにスタッフとして責任を担おうとするなら、「体調よくなるまで、ゆっくり休んでね。」と支えるのもいいでしょう。または、「私だって大変だけど、帰ってくるまではあなたの分まで頑張るからね。復帰したらよろしくね!」と正直にいうのもいいでしょう。

友達としての責任も負ってあげようとするなら「黒木さんは友達だからいうんだけど、ちょっと人や病気のせいにしすぎてるんじゃないかなと思うよ。」と黒木さんにとっては耳に痛い忠告をしてあげるというのも大切です。「良薬は口に苦し」です。黒木さんとの信頼関係がしっかりできていれば、彼女も寺岡さんのひと言でわれをとり戻せるかもしれないのです。

メンタルが弱いと逃げるタイプの人におっかなびっくり関わることはありません。言いたいことをキチンと伝えていいのです。ある意味それが世の中なのですから。

寺岡さんはなぜ、黒木さんのような人の対応に困ってきたのでしょうか。
それはお父さんを支えてあげることができなかったという自責の念からです。

「メンタルが弱い人は守ってあげなくっちゃいけないんだ。」という幼いころに作った思いこみが、黒木さんに大切なことを忠告することを止めてきました。優しくするのもその人を守ることですが、精神的に強くしてあげるということも、結局は黒木さんの心を守ることにつながるのです。

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みなっちからのメッセージ☆

もしかすると黒木さんは「メンタルが弱い人は守ってあげなきゃならない」という思いこみと、お父さんに対する後悔の思いから寺岡さんを解放するために現れたのかもしれませんよ。

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