「これってどうするんですか?」と、上から目線の新人にモヤッ!原因は意外なところに?
覚えることの多い看護の現場でわからないことがあるのは、新人のうちならしかたないこと。
しかし、わからないことを堂々と、偉そうに聞いてくる人が周囲にいると、なんだかモヤっとしてしまいますよね。
今回は、そんな新人との関わり方のヒントをご紹介します。
スッキリしつつ、一歩成長できる。そんな記事になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
あらすじ
物静かな豊島さんは2年目ナース。最近、新人の小松崎さんが、当たり前のように何でも質問してくるところにモヤッとしています。
「プリセプターでもないのに、なぜ私に?しかも、なんだか偉そうだし…」
そんなとき、いったいどうしたら良いのでしょうか。
それぞれの言い分
まずは、それぞれの言い分を聞いてみましょう。
小松崎さんの言い分
1年先輩の豊島さんはわからないことを質問すると、親身になって答えてくれる優しい人。
豊島さんは、「1年後はこんなふうになるんだな」という私のモデルでもある。だから色々なことを聞きたいなと思っている。
でも、彼女がうろ覚えなことを質問すると、途端にオロオロしちゃって、そんなに動揺しなくてもいいのにと気の毒になっちゃう。正直、先輩たちは教えることが上手じゃなくて、「この処置、この前のあれと一緒だよ」なんて言われても、主語がないからぜんぜんわからない。
そもそも説明があいまいなうえ、話も支離滅裂でわかりにくい。理解するためにはこっちから色々と質問しなくちゃいけなくて大変。
一度のオリエンテーションで、私に理解できなくて、豊島さんもわかってないことは教えかたに問題があるんだと思う。
今後の新人教育のためにも、今の教えかたがわかりにくいという新人の意見を、プリセプターや院内教育担当者に報告したほうが良いと思う。この病院の、卒後教育の現状を見直す良い機会にもなると思うから。
タイプが同じだから、全然怖いとは思わない。
豊島さんの言い分
小松崎さんは新人だっていうのにすごく自信満々な人。
話のしかたも貫禄があって、新人なのに声を掛けられるとビクッとしちゃう。
よく私に質問してくるんだけど、正直、そういう質問はプリセプターにしてほしい。小松崎さんのプリセプターの天野さんは、怖いから私はとっても苦手。
小松崎さんが私に質問してくるおかげで怒られる羽目になって、はっきり言って迷惑なんだよねぇ。
この前なんか、私のプリセプターの三浦さんが責任を感じることになっちゃって申し訳ないと思った。
普通は、一度オリエンテーションを受けたことを聞くときって、申し訳なさそうにするんじゃないかと思うけど、彼女は逆。「この前よくわからなかったんで」って超上から目線でくる。でも不思議なのは、天野さんがなぜか小松崎さんには甘いということ。というより弱みを握られているようにも見える。
それぞれの背景
次にそれぞれが育った背景を見てみましょう。
小松崎さんの背景
今年の春、看護学校を卒業したばかりの新人で、看護学校では成績はトップでした。
国試の全国模擬試験では全国で50番以内に入ったこともある秀才。
育った家庭は、父と母と兄との4人家族。父は市議会議員、母は進学校の数学の教員です。
兄も秀才でストレートで医学部に合格しています。
両親はいつもは仲良しだが、けんかになるとよく激論を戦わせます。
子どものころは「いつか2人が離婚するんじゃないか」と緊張し、半分ベソをかきながら決着がつくのを待っていました。
そんな日常で育ったからか、気が付くといつの間にか弁の立つ人に。
学校でも先生方の指導で矛盾を発見すると、とにかく理詰めで打ち負かしてきました。
豊島さんの言い分
この病院が初めての勤務先で、ナース歴は2年。
物静かで優しい性格の彼女は人と揉もめることが嫌いで、相手が矛盾したことを言っても「あれ?私が聞き間違ったのかもしれないな」と思うタイプです。
育った家庭は、父と母との3人暮らし。
父はサラリーマンで転勤族。母はパートで家計を助けていました。
自分からあまり話さない彼女は、友だちができにくい性格でした。
転校が多かったことで友だちを作るために「何でも相手に合わせる」ようになりました。
人を優先する生きかたが身に付いているため、人から何かを頼まれると断ることができません。
そして、それ以上に人から責められるのが苦手。
小松崎さんと関わると「なぜか最後に自分が責められることになるので勘弁してほしいな」と思っています。
豊島さんの「モヤッと」はなぜ生まれるの?
松崎さんの新人らしからぬ言動によって生まれます。
たいてい、新人というのはオドオドしていてかなり遠慮がちなもの。豊島さんもそういう新人でした。2年目になったとはいえ、まだまだ何もわかっていないし自信もありません。
「もう新人が入ってきちゃったよぉ…」、彼女はそんなふうに思っています。なのに今年の新人、小松崎さんときたら、自信満々で貫禄があります。新人としてのありかたが正反対の彼女を豊島さんはまったく理解できません。
人は理解できない相手にモヤッとしてしまうものなのです。
例えば、豊島さんなら一度オリエンテーションで聞いたことは理解しているべきだと考えます。
そのためにメモをとって聞くのだと思うし、何より、何度も聞くのは時間をとって教えてくれた人に悪いと思うのです。なのに、小松崎さんはメモを確認した様子もないし、一度聞いたことを質問しても申し訳なさそうでもない。
そして、こういう質問は普通、プリセプターにすべきだと思うのに、叱られるのが嫌なのか、自分みたいに聞きやすい立場の人間に聞くようなところにも「この人、ズルイなぁ」とモヤッとします。
「まだまだ仕事ができなくて、先輩方に迷惑ばかり掛けている立場の自分や新人は、一度で覚えようという気持ちくらいないと申し訳ない」、豊島さんはそんなふうに考える、とてもまじめな人なので、なおさら小松崎さんのありかたにモヤッとしてしまうのです。
どうして小松崎さんは何でも聞いてくるの?そして何で上から目線なの?
ズバリそれは、「わからないのは自分のせいではない」と思っているからです。
自分がわからないのは相手の教えかたが悪いからだと言いたいのです。
どうしてこんな考えになるかと言うと、1つには小松崎さんはとても成績が良い学生だったため、勉強に対してかなり自信をもっていて、「自分には理解力がある」と思い込んでいるのです。
今の小松崎さんは成績が良かった自分に対して自信があり、とてもプライドが高くなっている状態なのです。もしかすると、小松崎さんはプリセプターや先輩であろうとも、「自分より頭が良いか、悪いか」で人を判断しているのかもしれません。
話というのは、その人の思考過程を表すものです。優秀な人の話は論理的で主語も述語もきちんとしていて、過去の話なのか未来の話なのか、事実なのか推測なのかがはっきりしていることが多いです。つまり優秀=思考が整理されているということなので、思考が整理されている人があいまいで支離滅裂な説明を受けるとアラがたくさん見えてしまい、イライラしてしまうのです。
きっと小松崎さんは、このような理由から、説明してくれる人に対して「頭悪いなぁ、この人」と見下してしまうのでしょう。それが相手に伝わり、上から目線だなぁと思われるのです。
もちろん、教える側の説明がわかりにくいということはあるでしょう。でも、「相手の教えかたが悪いから自分はわからないんだ」という考えは、自信というよりは慢心です。慢心とは「うぬぼれの心」のことです。うぬぼれからの自信は周囲に不快感を与えます。
きっと豊島さんだけでなく、ほとんどの人が小松崎さんの聞きかたや上から目線の態度にはモヤッとすることでしょう。
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