本物のコーチングと偽物のコーチング

本物のコーチングと偽物のコーチング

教わりたいコーチ・教わりたくないコーチ

私は幼いころから運動が好きで小中高と「ソフトテニス」という競技をやってやっていました。
盆暮れ正月に3日間くらいの休み以外はすべて練習、練習。
いつも日焼けで真っ黒。
高校もソフトテニスでの推薦入学でした。
「あいつに勝って、あの県に勝つ!」
青春を運動に捧げていた私は、常にそんなことで頭がいっぱいでした。
こんな経歴から、比較的若いころから「コーチ」と名の付く人にたくさん出会ってきたと思います。
とくに高校で国体に出場する選手になった時には、自分の高校の顧問やコーチ以外に、
県が依頼している「コーチ陣」から「コーチング」を受ける機会が増えました。
コーチに選ばれる人たちというのは基本的には選手であったときの戦績がよい人です。
でも不思議なことに
華々しい戦績を持っていても「この人に教わりたくない」とモチベーションが下がるコーチ
もいれば、逆に選手としての戦績はそれほどよくなくても
「この人のためにも絶対に勝ちたい!」と、やる気がマックスになるコーチもいました
子供ながらに「この差はいったい何なんだろう?」と思っていましたが、コーチングを学び、
私自身もコーチとなり、この違いはコーチ自身の「あり方」と「前提」、
そして「教え方」と「言葉の使い方」の差であることがわかりました。

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名選手、名監督にあらず

私が教わってモチベーションが下がるコーチは総じて
「こんなに教えてるのに何でできないんだ。やる気あんのか」系でした。
できないのは選手の能力が低いせいであり、やる気がないせい。
こちらが失敗すると鼻で笑う嫌なヤツ。
人格を尊敬もできないし、むしろ試合に勝って
「この人が教えたから勝った」といわれるのはシャクだとすら思っていました。
名選手だけでは名監督にはなれません。
運動神経がよい人は、難しい技術でもパパッと習得してしまいます。
だからなぜ、他の人がその技術ができないのかが理解できません。
でも、どんな難しい技術であっても結局は小さな動作の組みあわせです。
細分化して一工程ずつ覚えさせ、最後に統合すれば大抵のことはできるようになります。
私が見学させてもらった小学校の体育の先生は
なんと3時間で低学年の子供たち全員に「とび箱」を飛ばせることができていました。
はじめの1時間はロイター版を踏切り、跳び箱にまたがるまで。
子供たちは面白がってやっていました。
次の2時間目はまたがった状態から教員が背中に手を添えながら腕の力を使って飛び超え着地するまでを。
これも難なく全員ができるようになりました。
そして3時間目にいよいよ統合。
助走をつけ、ロイター版を踏み切って跳び箱の前の方に手をつき、勢いよく飛び、着地!
見事、3時間で全員が飛べるようになりました。

「技術は細分化して教える」というティーチングの基本を小学校の体育の先生は徹底していたのです。
自分はできるからできない人のことが理解できない。
できないのは相手のせい。
たまたま「できる人」が出てきたときは、「自分が教えたからだ」と手柄をひとり占めする。
(できる人は誰がコーチであろうができるものです)
これでは名監督にはなれません。
難しい技術を小さく分解して、どの部分ができないのかをつかみ、励ましサポートし、
そして最後にはどんな素質の人であってもその技術が「できるようになる」。
こうした教え方ができる人が名監督であると私は思います。
選手がその技術を習得できないとき、選手のせいにするのはダメ監督。
自分自身の指導力のなさが原因と捉え、指導を工夫するのが名監督。
これは医療の世界で先輩が技術を教えるときであっても同じです。
皆さんの周りには名監督が多いでしょうか。それとも・・・・でしょうか。

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自分自身がダメコーチになっていた

私は、高校の教員としてテニス部の顧問をしていたとき、
この「名選手、名監督にあらず」の言葉が身に沁みました。
教えても教えてもなかなか勝てない生徒。
私立高校の部活推薦の生徒と比べたら、そもそもうちの生徒は
「勝ちたいという気持ちが足りないんだよな」とか
「うちの高校は他校と違って看護や福祉の実習もあるし、はじめから条件が悪いしな」と、
いつしかそんなふうに自分をなぐさめるようになっていました
そんなとき、職員室で残業いていてかなり遅くなってしまった日がありました。
部室の戸締りを確認しにテニスコートに行くと、
なんと暗がりで電気もつけずに必死で練習している生徒たちがいたのです。
電気をつけると遅くまで練習していることが他の教員にバレて帰される。
なので暗がりで練習していたのです。暗くてもできる素振りや、
ジャンピングスマッシュの踏み切りや肩を強くするための自転車チューブ引き。
私はその光景をみて愕然としました。

「生徒はこんなにもやる気がある。ダメなのは私の方だ。
自分自身あんなに嫌いだったダメコーチになってしまっている。」

私に指導力がないのです。
だから勝たせてやれなかったのです。
それを生徒のやる気や環境のせいにしていた自分自身の醜さに気づき、
くやしくてくやしくて涙が止まりませんでした。
「こんなことじゃいけない!」その日から私は生まれ変わる決心をし、
ありとあらゆる教え方を学びました。
体育や社会、英語に国語、数学に理科といった他の教科の先生方の授業の見学と授業研究。
講義後の授業評価アンケートはもちろんのこと、
生徒にどの先生のどんな教え方がわかりやすいのかを教えてもらいティーチングの基礎を、
そして同時にコーチングやメンタルトレーニング、
神経言語プログラミングなどの状態管理の分野もむさぼるように学びました。

資格認定ビジネスで育成された、たくさんの「偽物コーチ」との出会い

幼いころからスポーツコーチングにはなじみの深かった私ですが、
あらためて様々な分野のコーチングやNLP(神経言語プログラミング)やメンタルトレーニング、
交流分析に認知療法などを学びわかったことは、
それらは資格認定ビジネスであるということでした。

大学をでたばかりでビジネス経験もない若者が200万くらいのお金を払って
10日間程度のトレーニングを受け、「〇〇認定コーチ」という資格を取得する。
合格者が新しい受講者のロールプレーの相手を務め、総勢100人近くで資格認定のトレーニングをする。
今思えば、とても乱暴な育て方です。
それでもとにかく息子を亡くした時のトラウマをなんとかしたいと焦っていた私は、
藁にもすがる思いで何百万と支払いそれらのトレーニングをいくつも受講しました。
〇〇認定コーチと名の付く人たちに出会えば出会うほど、何か変だなあ、と感じることが多くなりました。
人と目を見て話すこともできないようなコミュニケーションに問題がありそうな人や
「俺のコーチング受けてできないなんて言わせない」と、すごぶる上から目線の人。
自分自身、カウンセリングに通っているという「うつ病」の人などコーチと名の付く人なのに、
この人みたいになりたいと思えないような人たちばかり。
団体で「モデリング」ということを教えているにも関わらず、
その団体が育成しているコーチを「モデリング」することができない現実。
そして、それらのコーチと言われる人々は、
いくつもの団体のコーチとやらの称号を持ちながら自分自身のコーチングのお客さんを持っていない
ということにもとても違和感を覚えるようになっていきました。

 

トラウマを緩和するテクニックを習って逆に「トラウマ」ができてしまった

100人を同じセミナー会場に集めて、そこの先輩コーチ(?)と名の付く方々と
ロールプレー形式でテクニックを習得するある団体の会に参加した時のことです。
この団体の資格認定セミナーはウン十万円でした。
およそ社会人経験も0であろうと思われる若い男性が、コーチとして私のロールプレーの相手になりました。
そのコーチと私は「恐怖症の克服」と呼ばれる難しい技術を練習することになりました。
その当時私は、息子のお葬式の場面が一日に何度も何度も浮かび上がってきてその度に、
「今、娘に何か悪いことが起ころうとしていると知らせるサインなんじゃないか」と怖くなり、
動悸がしてきて居ても立っても居られなくなるという症状で苦しんでいました。
授業をしていると黒板に葬式で飾られていた息子の遺影が映る。
すると不安で仕方なくなり娘が通っていた近くの小学校に無事に生きているか一日に何度も何度も
確認しにいかなくてはいられない。
こんなことを繰り返していたらいつしか仕事も続けられなくなってしまう。
そのころは離婚調停中であったこともあり、
仕事ができなくなれば親権を失ってしまうという恐怖心と焦りがありました。
早くトラウマを克服しなければというすがる思いでこの資格認定セミナーに申し込んだのでした。

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いよいよ待ちに待ったセミナーの日、前述したコーチ?と
「恐怖症の克服という」技術を練習していた時のことです。
その若いコーチが、
「ああ、ちょっとダメだな。もう一回。
息子さんの葬式の写真のシーンから巻き戻してみて。はいっ」
と私に言いました。私はその乱暴な言い方にムカッとしました。
「子供もいなければ子供を亡くしたこともないこの若いコーチ?とやらいう人に、
私の一番悲しかった出来事を話したくはない」
「どんなにすばらしい技術かしらないけど、こんな人に関わられたくない。
この人はコーチなんかじゃない。こんなのは偽物だ!」
ウン十万払って待ちに待ったセミナーに参加した結果がこれか・・。私は絶望に陥り、
この時のことが逆にトラウマになってしまいました。
今振り返れば、100人の受講者の中に初めての参加者はごく数人。
「コーチ認定を受けると有料でコーチングが実施できる」
というわりにはコーチングの経験がまったくないコーチとよばれる人々。
つまりその団体はコーチの資格を与えても、
コーチとなったその人たちの活躍する場所は自分で開拓するしかないため経験が積めない。
そもそも大学を出たばかりで人生の経験も社会人としての経験も浅い無名の人に
お金を出してコーチングを受ける人などいるわけがありません。
そんなにすごい技術ならまずは自分自身に活用して何かすごい目標を達成して
一角の人になるのが先じゃないの?と思われるのがオチでしょう。
実際、私もそう思いました。
コーチングセミナーの新しい参加者の相手役をやることで
コーチングをやった気になるくらいしか活躍できていないコーチ陣。
資格を与えてそれで終わり。
これが資格認定ビジネスです。
さまざまな団体の主催する資格認定セミナーに通ってみましたが、こんなところばかりでした。
だから
「はいっ、葬式の写真の場面から巻き戻して!」
なんて人の苦しみを軽々しく言い放つ「偽物コーチ」が誕生するのだと私は確信しました。
もちろんこの団体の認定は取るに値せずと判断し、この後は通いませんでした。

 

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